手術・麻酔を受ける皆様へ

はじめに

麻酔科学の進歩と、モニター機器の発達、新しい麻酔薬の登場によって、現代の麻酔はとても安全なものになってきています。
当院麻酔科は、皆様が安全に、かつ安心して手術を受けられるよう努めてまいります。
麻酔に関してご不明な点がありましたら、ご遠慮なさらず担当医師にご相談ください。

 

麻酔科医の役割とは？

手術の痛みや不快感を取り除く目的で麻酔薬を使用することだけでなく、術者が手術しやすい環境を整えることや、呼吸管理、循環管理といった全身状態を適切に維持することも麻酔科医の大切な役割です。
手術室スタッフと連携しながら、安全な周術期管理を提供しています。

 

麻酔方法の紹介

麻酔方法は大きく分類すると全身麻酔と区域麻酔にわけられます。術式や、既往歴、現在の状態に応じて、適切と思われる麻酔方法を計画します。

■ 全身麻酔とは

全身麻酔薬を用いて、手術中、眠った状態にする麻酔です。
全身麻酔薬の効果で自発呼吸が弱くなる場合には、口や鼻からチューブを入れて、機械による人工呼吸を行うことで呼吸の安全を保ちます。通常、手術が終わったら全身麻酔薬の投与を中止して、目が覚めた後に人工呼吸用のチューブを抜きます。

■ 区域麻酔とは

区域麻酔には、脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔、伝達麻酔（神経ブロック）、局所麻酔が含まれます。
時に、全身麻酔と組み合わせて行い、手術中・手術後の創部の痛みを和らげる効果があります。

・脊髄くも膜下麻酔
一般に下半身麻酔と称されている麻酔です。
背骨の間に薬液を注射することで、下半身を中心に痛みなどの感覚がなくなります。
数時間で効果がなくなります。麻酔が効いてる間は足を動かしにくくなり、排尿が難しくなることがあります。

・硬膜外麻酔
背骨の間に細いカテーテルを挿入して、カテーテルから薬液を持続的に注射することで、手術部位の痛みを和らげる麻酔です。
麻酔が効いてる間は排尿が難しくなることがあります。

・伝達麻酔（神経ブロック）
手術部位に通じる神経の周りに局所麻酔薬を注射することで、手術部位の痛みを和らげる麻酔です。
超音波装置を用いて針の位置を確認しながら実施しています。

 

■ 具体例

・上肢の骨折の麻酔（全身麻酔＋伝達麻酔）
全身麻酔で眠り、口からチューブを入れて人工呼吸を行います。
眠っている間に、首周囲の伝達麻酔を行います。
手術が終わって全身麻酔薬の投与を中止すると、しばらくして目が覚めるため、人工呼吸用のチューブを抜いて、手術室から病棟へ移動します。

・開腹消化器外科手術の麻酔（全身麻酔＋硬膜外麻酔）
起きている間、手術用ベッドの上で横向きになり、背中を丸くして、背中に硬膜外麻酔のカテーテルを挿入します。
その後、全身麻酔で眠り、口からチューブを入れて人工呼吸を行います。
手術が終わって全身麻酔薬の投与を中止すると、しばらくして目が覚めるため、人工呼吸用のチューブを抜いて、手術室から病棟へ移動します。

 

 

よくある質問