2025年11月13日 第38回在宅医療懇談会・第40回メディカルケアネット西宮事例検討会 合同研修会 開催しました。
初の試みとなる合同開催には、医師会の先生方を含む63名の医療・介護の専門職の皆様にご参加いただき、終末期医療における「意思決定支援」の重要性について深く掘り下げました。
◆開催概要
【日時】令和7年11月13日(木) 16:00~18:00
【場所】西宮健康開発センター 2階研修室
【テーマ】意思決定支援:私の終末期はこうしてほしい
~医療事前指示書を一緒に書いてみよう~
【講師】スーディー神崎和代先生
札幌市立大学・大学院名誉教授/3HR代表理事
【参加者】63名(医師、看護師、薬剤師、ケアマネジャー、介護職など、医療・介護の専門職)
◆講義 日本の現状と、私たち専門職の役割
日本の終末期における意思決定の現状として、「家族と全く話したことがない」は64%、「事前指示書の準備がない」は94.7%と極めて高いことが示されました。
市民の終末期への関心は高まっているものの、そのニーズを充足する適切な様式の不在、法的未整備といった状況に加えて、専門職自身が自分の「事前指示書」が書けないという状況もお話がありました。
特に印象的だったのは、先生が滞在されたフィンランドでは、17歳の青年が、自身の終末期について考え、事前指示書を準備しているというお話です。
この事例は、私たち日本の専門職が「意思決定支援」をどのように捉え、市民への啓発に取り組むべきか、深く考えさせられました。
◆グループワーク 「人生会議」の実践と難しさ
講義後、「グループを家族だと考え、一緒に相談しながら書いてみましょう。」という先生の声掛けのもと、各グループで医療事前指示書を作成する「人生会議」が活発に行われました。
以下のような具体的な意見が出ました。
・自分の望む意思を明確にし、文章として表現することの難しさ
・グループ内の「家族」に自身の終末期の考えを伝えることの難しさ
・市民への啓発の重要性
・学校教育の段階から、命の大切さや、自分の思いを伝える事の重要性を伝えていくべきだという提言。
最後に、先生から本人役と家族役の指名があり、劇場仕立ての演技で終末期の希望を伝えるロールプレイを行っていただき、意思決定支援の具体的なイメージを共有しました。
◆参加者の声と今後の学び
今回の研修を通じて、終末期の価値観や死生観について深く向き合うことができたとの感想が多く寄せられました。
・事前指示書の重要性を認識できました。
・意思表示しておく事は、自分らしく最後を迎えるために大切。
・終末期の価値観が変わった。
・死に対しての意識の変化を感じる事ができました。
本研修は、医療・介護の専門職として「ご利用者様が望む治療や暮らし」を支援するとはどういうことか、その本質的な意味を再確認し、学びを深める貴重な機会となりました。
ご参加いただきました皆様に心より感謝申し上げます。 (2025年11月17日 報告)


