診療科目・部門紹介 /

トップページ   診療科目・部門紹介  診療科  血管外科

血管外科について

上下肢は血管が体表に現れる場所のために全身の血管の状態を観察できます。

特に、下肢の動脈血流が悪化する下肢閉塞性動脈硬化症は『全身の動脈硬化の窓』と言われており、他の動脈硬化疾患(虚血性心疾患、脳血管障害など)合併していることが多く、全身の血管の精査が必要です。

当科では全身の血管疾患を包括的に管理治療していく“Total Vascular Care”を目標としています。

外科的治療のみだけではなく、内科的治療や緩和医療(疼痛緩和)までを行っております。このために外来から入院までを一貫して診療するので安心して受診して頂けます。

手術は、患者さんの全身状態に応じて、低侵襲なカテーテル治療から外科的治療、さらにカテーテル治療と外科的治療を同時に行うハイブリッド治療を適切に行っております。

さらにその後の創部や疼痛管理まで行います。

地域に根差した質の高い全身血管診療を行って参りたいと存じます。

血管の病気について心配のある方はどうぞ安心して受診して下さい。

 

こんな症状ありませんか?

下肢静脈瘤とは

足の静脈には血液が逆流しないように弁がついています。弁が壊れてしまうと血液の逆流が起こり、 静脈に血液が溜まって膨れや蛇行、コブができます。これが下肢静脈瘤です。

こんな方にできやすい

出産経験のある成人女日本人約9%に下肢静脈瘤があり、出産経験のある成人女性の2人に1人が発症するとされています。

性別 女性に頻度が高い
年齢 加齢とともに増加する。妊娠・出産がきっかけでできる人が多い
職業 立ち仕事の方に多く、進行しやすい
遺伝 家族に静脈瘤のある方に起こりやすい

日本人の約9%に下肢静脈瘤があり、出産経験のある成人女性の2人に1人が発症するとされています。

4タイプの下肢静脈瘤

静脈瘤の太さにより以下の4タイプに分けられます。

一般的に症状があり、手術が必要になるのは伏在型静脈瘤です。他の3種類は軽症であり、あまり心配のない静脈瘤です。

主な治療法

静脈瘤のタイプ、患者さんの状態によって治療が異なります。
当院では下記すべての治療方法が可能です。

手術治療
血管内焼灼治療

治療する静脈の中にカテーテルという細い管を通します。カテーテル先端からレーザー光線やラジオ波を出すことにより熱を発生させて、静脈を塞ぐ方法です。2014年より健康保険にて治療可能となりました。

  • メリット:短期滞在手術が可能。手術の傷跡が一か所ですみ、皮膚にメスを加えないので傷跡がほとんど目立ちません。出血が少ない治療法です。
  • デメリット:一時的に痛み、つっぱり感、皮下出血などが起こることがあります。

当院でも2015年10月より最新機器ELVeS1470を用いたレーザー治療開始!

詳しい機器の説明はこちら

2019年よりClosureFastを用いたラジオ波治療開始!

ELVeSMedtoronic ClosureFast

内視鏡下筋膜下穿通枝切離術(SEPS)

下肢慢性静脈瘤による鬱滞性皮膚炎、うっ滞性下腿潰瘍を伴った重症例に対する手術は困難でありました。

1987年に内視鏡下筋膜下穿通枝切離術(subfascial endoscopic perforator surgery: SEPS)が初めて報告され、2015年よりSEPSに対する保険適応が認可されました。当院では、2019年よりSEPSを開始しました。

下肢静脈瘤の重症例に有効で、ストリッピング術や下肢静脈瘤血管内焼灼術を同時に行う事もあります。

 

ストリッピング手術

皮膚に小さい切開を加え、弁不全を起こしている静脈に特殊なワイヤーを通して静脈を引き抜く方法です。

高位結紮術

静脈逆流の強いところを、1cm程度の皮膚切開を加え静脈を縛り血液の逆流を止める方法です。

硬化療法

硬化剤という薬を静脈瘤に直接注射し固めてしまう治療です。入院の必要はありませんが、太い静脈には治療できません。

保存的治療

弾性ストッキングで足に適度な圧力を加え、血液が溜まるのを予防します。低価格で履くだけで良いのですが、現状維持が目的で下肢静脈瘤そのものが治るわけではありません。

病状により最も良い方法をご提案します。

診療の流れ

  1. 初診予防
  2. 初診受付・問診票記載
  3. 診察
  4. エコー検査
  5. 治療方針のご相談
  6. 術前検査(血液検査・心電図・胸部レントゲン)
  7. 手術
  8. 術後外来受診

外来

木曜日(午後)、金曜日(午前)
担当医:畑田充俊(午前受付8:30~11:30、午前診察9:00~12:00)

下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医

心臓血管外科: 吉田 和則

下肢静脈瘤血管内焼灼手術実施依・指導医

心臓血管外科:畑田 充俊

 

 

よくある質問

静脈を塞いで大丈夫?

他の静脈が心臓に血液を運んでくれるので大丈夫です。

下肢静脈瘤焼灼術治療の対象となる方は?

大伏在静脈または小伏在静脈の弁が壊れて逆流がある場合です。静脈が表皮に近い場合は色素沈着や疼痛の可能性があるので困難な場合もあります。これは静脈エコーでわかります。

治療時間はどのくらい?

片足60分程度です。麻酔方法にもよりますが、 術直後から歩行可能です。

安全ですか?

下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療の実施基準を満たした医師が手術を行いますので安心して受診してください。

治療費について

下肢静脈瘤のレーザー治療は2010年1月より健康保険による診療が認められるようになりました。3割負担の方で約63,000円程度、1割負担の方で約21,000円程度です。(1泊2日入院、食事代・室料差額代、病衣代、弾性ストッキング代を費用に入れない場合)

  • 薬の処方や入院日数により異なります。
  • 「高額療養費制度」が適応されます。

下肢血管専門外来

末梢動脈疾患(PAD)に対する取り組みについて

当科では全身の血管疾患を包括的に管理治療していく“Total Vascular Care”を目標としています。
外科的治療のみだけではなく、内科的治療や緩和医療(疼痛緩和)までを行っております。

 

末梢動脈疾患(PAD)とは?

末梢動脈疾患は『動脈硬化』と密接にかかわっています。動脈硬化とは、血管の内側にコレステロールが沈着し、血管の内部が狭くなり血液の流れが悪くなった状態をいいます。
動脈硬化はそもそも血管の老化現象のことであり、誰でも年齢を重ねれば血管は脆くなっていきますが、糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病がある場合、動脈硬化が通常より早く進行する危険性が高まります。その結果、主に足の先に十分な血液が届かなくなることでさまざまな血液不足の症状が出現するようになります。

 ご注意ください

従来本邦では、下肢ASO(下肢閉塞性動脈硬化症)と一般的に呼ばれており、海外ではバージャー病も含めてPAD(末梢動脈疾患)とより広い括りで呼ばれることが一般的です。ただし現在ではASOとPADはほぼ同じ意味で用いられています。

症状

末梢動脈疾患の症状は重症度によってI度からIV度に分類されます(フォンテイン分類;図1)。なお、この分類におけるIII度からIV度の状態には『重症下肢虚血』という別の名称がつけられており、治療が格段に困難となり生命予後の低下にも繋がっています(図2)。

大切なことは早期診断・早期治療であり、これらの症状を有する患者さんがいらっしゃった場合、まずは末梢動脈疾患を疑い適切な治療を行える環境を作ることが重要です。


  • 図1 フォンテイン分類

  • 図2 末梢動脈疾患患者の生存率
検査
検査手順

末梢動脈疾患が疑われる患者さんが来院された場合、まずはスクリーニングを行い末梢動脈疾患の有無および重症度を調べます。その後、治療の緊急性や治療内容を詳細に判断していくことになります。

  • スクリーニング
    末梢動脈疾患があるかを調べます
    触診、ABI検査、SPP検査など

  • 重症度評価
    重症度や病変部位を診断します
    脈波測定、分節圧測定
    SPP検査、超音波検査など

  • 病変部所見診断
    病変部をさらに精密に検査し
    治療戦略を立てます
    血管造影検査、CTなどの画像診断

ABI検査(足関節上腕血圧比)

腕と足首の血圧を測定し、その比を調べます。正常の方は下肢の血圧は上肢に比べて高いのですが、下肢の血圧が下回る場合には末梢動脈疾患を疑います。

SPP検査(皮膚灌流圧測定)

皮膚の表皮レベルの血流状態を測定する検査で、ABI検査に比べより正確な評価が可能です。重症下肢虚血患者の重症度や治療効果判定を行ううえで重要となります。

超音波検査

文字通りエコー検査です。ベッドサイドで非侵襲的に行うことができ、末梢動脈疾患の部位診断や重症度評価が可能です。

治療
薬物療法

主には抗血小板剤やプロスタグランジン製剤を使用し、跛行や疼痛など虚血症状の改善を図ります。また高血圧や糖尿病などを認めている場合は、基礎疾患に対する内服治療も重要となります。内服療法は全ての患者さんに対し基本的な治療となりますが、実際のところ重症度の高い患者さんは薬物療法単独では効果を認めないこともしばしばあります。

運動療法

一般的には歩行訓練を行うことで、閉塞した動脈以外の側副血行路の血流を増やしたり、新生血管の増生効果が期待されます。医療機関や医師指導の下、在宅で行うこともありますが医療圏により地域差があるのが実情です。

血管内治療

血管の狭窄や閉塞部をバルーン(風船)やステント(金属の筒)によって拡張し、血流を回復させる治療法です。当院ではカテーテル治療に力を入れている施設ですので、別途詳細にご説明いたします。

外科的治療法(バイパス術)

血管の閉塞部位の上下に血管(自家静脈・人工血管)をつないで、新しい通り道(バイパス)を作る治療法です。

血管内治療(カテーテル治療)

末梢動脈疾患に対し、従来は治療法はバイパス術しかありませんでした。しかし、近年ではカテーテル治療の進歩により外科治療に近づくような成績が得られる症例もあります。

カテーテル治療とは、足の付け根や手首の動脈から細い管を挿入して行う治療法のことで、従来より狭心症や心筋梗塞の方の治療として日常的に行われてきました。ガイドワイヤーと呼ばれる細い針金に沿って、先端に風船のついたカテーテルを病変部まで導いた後、バルーンを膨らませることで血管を拡げ血流再開を目指します。またバルーン治療のみで十分な拡張や血流再開が得られないような病変に対しては、ステントと呼ばれる網目状の金属製の筒を当該部位に留置します。カテーテル治療は、皮膚に12か所小さな穴を開けるだけで治療できますので傷もほとんど残りませんし、全身麻酔なども必要ありません。
左:治療前 右:ステント留置後


左:治療前 中:バルーン治療 右:治療後

カテーテル治療が発達してきており、ほとんどの患者さんはカテーテル治療で治療が可能です。しかし、バイパス術は、依然として長期成績の安定した治療法です。
このために患者さんの状態によれば、バイパス手術の方が良い方もおられます。

脊髄電気刺激法

痛みのある場所に刺激感(パレステジア)が重なるようにして痛みが和らぐと言われている治療です。腰下肢痛に対する脊髄刺激療法の効果は報告されていますが、パレステジアベースの刺激は腰痛よりも下肢痛への効果が報告されています。腰下肢痛に対して試すトライアル方法を採用することで個々の患者さんに合った刺激を見つけます。トライアル中の刺激の細かなフォローアップ、効果は疼痛の軽減だけでなく身体機能の改善に効果があると言われております。

局所麻酔下で穿刺針を用いて、硬膜外腔にリード1本(又は2本以上)を挿入します。体外に出したリード又はアダプタの先端を、体外式神経刺激装置(ENS)に接続します。パレステジアの及ぶ範囲を患者に尋ね、その返答に従って、リードの位置を決め、電極を選択します。リード植え込み後に1-2週間程度試して、腰下肢痛の変化をみます。腰下肢痛に効果があれば、刺激装置を植え込みます。

 

当院の特徴は、血管外科でバイパス術、カテーテル治療、必要時には下肢潰瘍や壊死部分の処置まで行っております。痛みのコントロールが必要な方は、薬だけでなく神経ブロックや脊髄電気刺激まで行っております。入院から退院まで一貫した治療が可能となっております。

当院では、バイパス術とカテーテル治療の良い点、悪い点を考慮して、各患者さんの生活状態や全身の状態に応じて治療法を選択して治療を行います。治療について疑問があれば、お気軽に相談下さい。

 

静脈血栓症(深部静脈血栓症、肺動脈血栓塞栓症)

手足の深い部分にある静脈に血栓ができるのが「深部静脈血栓症」で、できた血栓が血管の中を流れていき、肺の動脈に詰まる病気が「肺塞栓症」です。「深部静脈血栓症」と「肺塞栓症」は連続した病気なので、合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼ばれています。

深部静脈血栓症は肺動脈塞栓症を来して、生命にかかわるかもしれない病気の一つです。近年は、新しい薬の出現により内服のみで加療することも多くなっており、治療法が簡便となってきております。しかし、中枢側に静脈血栓がある場合には肺動脈塞栓症を来す可能性が高く、カテーテル治療の有用性を示す報告もあります。また、遠隔期には深部静脈血栓症による静脈弁不全で、遠隔期に静脈血栓後遺症に難渋することが見られます。

上記の写真のように静脈血栓後後遺症による静脈弁不全で鬱滞性皮膚炎を来し、場合によっては潰瘍を伴う事があり治療に難渋することがあります。

肺動脈塞栓症と静脈血栓後遺症を予防するために、有症状の深部静脈血栓症に対して積極的にカテーテル血栓溶解療法を行っております。

 

この症例のように腸骨静脈から大腿静脈まで血栓がある症例でも、ほぼ血栓を除去可能です。血管内視鏡で血栓の減少が確認されました。

カテーテル治療直後から下肢腫脹は改善し、静脈弁の逆流を認めませんでした。

足の急激な腫れや足の痛み、足の皮膚の変化がある方は気軽に受診して下さい。

 

外来

水曜日(午後)、金曜日(午前)

担当医:畑田 充俊

日本血管外科学会血管内治療認定医、腹部大動脈ステンドグラフト実施医、日本フットケア・足病学会認定医、リンパ浮腫治療師

ページトップへ