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西宮渡辺病院

生活支援を目指す西宮渡辺病院

「老衰」という未来で私達ができること―生活支援型医療

厚生労働省が2019年に公表した統計によると、2018年の死因順位は1位が悪性新生物27.4%、2位心疾患15.3%、3位老衰8.0%という結果でした。長らく3位となっていた脳血管疾患と入れ替わって上位に上がった老衰は、2001年以降徐々に増加してきました。超高齢化社会に突入し、平均寿命も世界1位となっている日本においては自然な傾向と言えるかもしれません。老衰の定義は「直接的な死因となる病気がない自然死」。これが何を象徴しているかというと、多くの人が超高齢まで長生きして亡くなる未来が来たということ。人生で一度も病気にかからず最期を迎える人はごくわずか。どんな病気を患った人でも、回復後の人生をその人らしくその地域で生き続け、天寿を全うできるように支える医療が必要です。これこそが、私達が大切にしている「生活支援型医療」と考えています。
生活支援型医療は、「生活支援」というシンプルな表現以上に複雑さを帯びています。医療を教科書的に正しく提供して疾患を治すだけでは価値がない。患者さんが暮らす地域の文化やその文化の中で暮らす人の心を理解しなければ、患者さんにとって価値ある医療は実現できないのです。与えられた命を精一杯生き天寿を全うしてもらう生き方を徹底して支えたい。そのための医療を展開し、その地域の未来を担うことが私達の目標です。

目指すはトータル的なケアが実現する「その人らしく生きること」

西宮渡辺病院は1965年の創立以来、地域の中核病院として急性期医療を担ってきました。その実績が評価され2010年には兵庫県内初の社会医療法人に認定。開院より注力してきた救急の受け入れ体制に加え、高齢者ニーズの高い診療科を揃えています。

例えば、整形外科は「人工関節センター」をはじめ専門外来も非常に多く展開していますが、整形外科は高齢の方に多い疾患です。骨折や骨粗鬆症、変形性膝関節症、歩くことは本当に心身にとって大切、まさに生きる力になる要素。まさに「その人らしく生きること」というテーマにつながっているのです。それが整形外科だけでなく、消化器、循環器系とそれぞれ非常に高齢者ニーズの高いものを強化しているといったところです。

そして、慢性疾患や機能回復のための治療もかなり強化してまいりました。その理由は、不調を自覚している部位以外に隠れた原因を複合的に考慮する必要が多い高齢者の方々のための治療をトータルでカバーできるようにするため。ある病気や怪我を一つの科で治すだけなけならどこの病院でもできますが、整形外科・呼吸器疾患科・消化器科・リウマチ科・さらには認知症予防などトータル的な視点で患者さんを診なければ、「その人らしく生きる」というゴールに決して辿り着かないのです。

患者さんに本当に寄り添った医療を実現するには、地域医療を担う私達がもっと積極的にできることを増やし、関わる範囲を広げることが必要。それを徹底した仕組みづくりをしている当院は、質の高い医療を提供して完治を目指すだけではなく、回復後も変わらず、できるだけちゃんと動けて生活できるまで、トータルで疾患を診て、トータルで人を診るということを非常に大切にしています。

多職種協働で「その人らしい生き方」を支え、地域に戻っていただく

私達が目指す「その人らしく生きる」医療では、やはり自宅に戻れるように、そして、自宅に戻ってからもフォローしていくことが大きなポイントです。そのために、入院中から心臓、脳疾患、整形、呼吸器、認知症まで専門的なリハビリを展開しながら、さらには栄養や薬剤など他業種との連携も持たせ、患者さんの個々の状態に合わせてオーダーメイドでプランニングできる退院支援体制を作りました。急性期病棟と回復期病棟を並走させることで、高齢者の方々だけではなく若年層の方々でも早期に社会復帰し、元の生活に戻るための十分なリハビリをしてから帰っていただくようにしています。また、自宅に戻った後に身体を動かさなくなり、体力・機能の衰えや病気の再発を招いてしまうケースを防ぐため、自宅に戻った後も生活支援ができる訪問系のサービスも充実して展開しています。
自宅からリハビリに難なく通えるか、さらに栄養の摂り方や薬の飲み方にも支障が生じない環境かどうかを退院する前から確認し、懸念点があれば理学療法士や栄養士、薬剤師などが訪問する流れを作り、安心して在宅生活を始められるようにしています。自宅に戻った後も患者さんからの反応を待つのではなく、患者さんのニーズを汲み取り、必要だと判断したことはすぐ行動に移す。それができているのは様々な職種の医療スタッフ達が連携を取っているからです。生活支援型医療にはチーム医療が不可欠であり、豊富に経験を積みながらさらにチーム力が上がっていく循環ができていると感じています。

地域の未来も見据えて多様に進化し、最高の医療を提供し続ける

病気や怪我で当院にいらした患者さんを、地域で元気に暮らしていけるようにする。その責任を突き詰めて考えた結果、当院だけで急性期から、回復期、維持期(生活期)まで完結できる施設と体制を整えてまいりました。手術した方の自宅復帰後のフォローまで一貫して寄り添える。そして、最新の医療機器の導入などにもかなり力を入れています。さらに包括的な医療に欠かせない優秀な医療チームの育成や、大学病院との連携にも注力しています。そうした投資が地域の未来を良くすることにつながると信じて。決して規模が大きい組織ではありませんが、この地域に根ざした最高の医療をみなさまに提供し続けてまいります。

 

 

 

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